セックスレスで心が離れた夫婦関係|SNSがくれた“話せる誰か”
「触れない」「話せない」夫婦の距離に疲れていた
※高橋さん(仮名・60代女性・主婦)
いつからか、手もつながなくなっていた
夫とは30年以上連れ添ってきました。
一緒に子育てをし、仕事を支え合い、これまでの人生の大半を“家族”として過ごしてきたつもりです。
でも、ふと気づいたとき、私たちは「ただの同居人」になっていました。
触れることもなく、言葉も交わさず、
気まずさもなければ、気づかいもない。
そういう関係がいちばん“楽”なようで、いちばん“つらい”のだと、時間が経つほどに分かってきたんです。
会話がないのに、気まずさすら感じなくなっていた
子どもが独立して、二人きりになった家。
夕飯の時間になっても、テレビの音だけが響いていて、
夫は無言でご飯を食べ、私も何も言わずに片づけをする。
以前は「今日どうだった?」と聞かれるだけでも安心していたのに、
今ではそのひと言もない。
それが習慣になると、逆に話しかけることのほうが気まずくなっていく――
そんな空気の中で、私はどんどん“自分の居場所”がなくなっていく感覚に襲われていました。
セックスレスが「距離の象徴」になっていた
年齢を重ねて、身体の変化もあるのは当然です。
でも、セックスがなくなったことよりも、
**“触れるきっかけが一切なくなった”**ことが、私にとってはつらかった。
少し手を握ることも、そっと肩を寄せることもできない。
それを寂しいと思っている自分の気持ちすら、相手に言えない。
「もう、そういうのは必要ないよな」
夫のそんな言葉に、何も言えず笑ってごまかしたことがありました。
でも本当は、必要かどうかではなく、**“自分が大切にされているかどうか”**が知りたかったんです。
「このまま、誰にも触れられずに老いていくのかな」
そう思った夜が、何度もありました。
でも、誰かに相談する勇気もなく、
ましてや恋愛や再婚なんて、自分には縁のない世界に思えました。
ただ――
誰かと、気軽に、気持ちをやりとりできる場所があればいいのに。
そう思い始めたのが、SNSという“新しい選択肢”を知るきっかけになったのです。
セックスレスが“心の孤独”につながる理由
“身体のふれあい”は心のつながりと直結している
年齢を重ねると、セックスという行為自体が話題に上ることは少なくなります。
「もうそういう年齢だから」「夫婦ってそういうもの」――そんなふうに、
触れ合いがないことを“当たり前”として片付けてしまうこともあるでしょう。
でも、本当にそうでしょうか?
実は、ふれあいがなくなることで“心のつながり”まで薄れてしまうと感じている中高年の方は少なくありません。
それは、セックスという行為そのものではなく、
「お互いを意識し、求め合い、大切に思う気持ち」の表れだからです。
ふれあいがなくなることで起こる“見えない距離”
ある中高年向けSNSの利用者アンケートでは、
セックスレスの悩みを抱える男女のうち、約72%が「会話も減った」と答えたという結果がありました。
ふれあいがないことで「恥ずかしさ」や「遠慮」が生まれ、
それがやがて会話や日常のスキンシップにまで影響していく――。
そうして生まれるのが、**「心の孤独」**です。
物理的には近くにいるのに、心はまったく通じていない。
この見えない距離感が、静かに孤独を深めていくのです。
“必要とされていない気がする”つらさ
中高年期の孤独の中で、特に深いものが「自分はもう誰にも必要とされていないのでは」という思いです。
セックスレスが続くと、
・自分の魅力がなくなったのか
・相手にとっての「パートナー」でいられているのか
そんな不安が頭をよぎります。
日々の生活で言葉にすることがないぶん、
こうした気持ちは内側で静かに大きくなり、誰にも言えずに抱え込んでしまうのです。
性的なつながりではなく「心の通い合い」がほしい
セックスレスの問題において、求めているのは決して「性行為」そのものではありません。
本当に求めているのは――
・自分に興味を持ってくれること
・会話の中で気持ちを共有できること
・日々の何気ないやりとりにあたたかさを感じられること
つまり、「心の通い合い」なのです。
そして、この“通い合い”のきっかけになるのが、
SNSなどのちょっとした交流の場であることも少なくありません。
「ふれあえない相手」ではなく「話せる誰か」の存在
SNSでのやりとりは、顔を合わせるわけでもなく、
ましてや恋愛に発展する必要もありません。
それでも――
「おはようございます」と言葉をかけてもらえること、
「その気持ち、分かりますよ」と返してくれる人がいること。
そうした関わりのひとつひとつが、
ふれあいのない生活に**“あたたかい気配”をもたらしてくれる**のです。
誰かと“話したい”けど、恋愛やマッチングは違うと思った
「話すこと」に飢えていたある日
夫婦の会話がなくなってから、誰かと話す機会が極端に減りました。
仕事はもう退職していて、子どもも独立。
友人に電話するにも、どこか気が引ける――そんな毎日が続いていたんです。
特別なことじゃなくていいんです。
「今日は風が強いですね」とか、「庭の花が咲きました」とか。
ただそんな何気ないことを、ぽつりと話せる相手がほしい。
気づいたときには、スマホを手にしていました。
マッチングアプリを検索したけれど…
「話し相手 アプリ」「つながり 孤独 解消」――。
そんな言葉で検索して、最初に目に入ったのはマッチングアプリでした。
でも、すぐに思いました。
「これはちょっと違う…」
恋愛を求めているわけじゃないんです。
誰かと再婚したいとか、付き合いたいとか、そういう気持ちではなくて――
「ただ、人と話がしたい」だけだったんです。
恋愛じゃなくて「人との関係を築き直したい」
マッチングアプリの画面には「いいね!」や「マッチング成立」といった言葉が並んでいて、
そこにあるのは“出会い”や“ときめき”を求める世界でした。
一方で、私が求めていたのは――
・日常の中で誰かとやり取りできること
・ひとりごとに反応してもらえること
・年齢を重ねた今の気持ちを受け止めてもらえる空気感
つまり「心の距離がちょうどいい関係」でした。
SNSにたどり着いたのは“偶然”だった
マッチングアプリに違和感を覚えた私は、検索を続けました。
そんなとき、「中高年向けSNS」「会話だけでもOK」という言葉を見つけたのです。
試しに登録してみると、そこには
・同じ世代の人が気軽に「日記」を書いている
・他の人の日常に「コメント」や「ひとこと」が添えられている
・恋愛や出会いを前提としない自然なやりとりがある
そんな、**“肩の力を抜いて話せる空間”**が広がっていました。
つながりが始まったのは、たった一言から
私が最初に投稿したのは「久しぶりに散歩したら気持ちよかったです」というひと言。
すると、数分後に見知らぬ誰かから
「今日は風が気持ちよかったですよね。私も散歩しました」
というコメントが届いたのです。
その瞬間、胸の奥がじんわりとあたたかくなりました。
「自分の言葉が誰かに届いた」
「そして、返してくれる人がいた」
マッチングや恋愛では得られない、**“人と人のゆるやかなつながり”**がそこにあったのです。
距離感のある安心した関係が、何より心地よかった
SNSでのつながりは、会う必要もなければ、恋愛に発展することもありません。
それでも、日々の中で「話しかけられる」「返事がある」「話題が続く」ことが
こんなにも救いになるのだと、初めて知りました。
「話したいだけ」「聞いてほしいだけ」
そんな気持ちを満たしてくれる場所が、確かに存在していたのです。
【図解】セックスレスと夫婦の心のすれ違い(実感TOP5)
セックスレスの悩みは、単なる「行為がない」ことにとどまりません。多くの中高年夫婦にとって、それは心の距離が広がる入口でもあるのです。
とくに50代・60代の声を集めたアンケート(複数回答可)では、次のような「心のすれ違い」が多くの方に実感されていました。
【図1】セックスレスとともに感じた“心のすれ違い”TOP5

実感内容 | 割合 |
---|---|
会話が減った・目を合わせなくなった | 61% |
存在を無視されているように感じた | 56% |
自分に魅力がなくなったと思い込んでしまった | 52% |
相手に気を遣いすぎて本音が言えなくなった | 47% |
家の中にいても「孤独」だと感じるようになった | 43% |
このように、身体的な距離だけでなく精神的な孤立感が伴いやすいのがセックスレスの難しさです。
「言葉を交わさない日が増えた」「隣にいても、気配しか感じない」といった感覚は、目に見えないストレスとして蓄積されていきます。
本音を言える「外のつながり」が必要なとき
こうした状態の中で、SNSなど自分の気持ちを言葉にできる場所が心の逃げ道になったという声も多く聞かれます。
- 「家庭では黙ってしまうけど、SNSでは普通に話せた」
- 「“わかります”の一言で、ずっと張っていた気が緩んだ」
実際、SNSでのやり取りは相手に気を遣いすぎずに感情を吐き出せるという意味でも、セックスレスによる孤独感をやわらげる“クッション”のような役割を果たしているようです。
はじめて“返事がもらえた”投稿に、涙が出そうになった
夫婦間の会話が減って、触れ合いもなくなり、ただ同じ屋根の下に“いるだけ”の関係。そんな日々が長く続くと、自分の存在価値さえ見失いそうになることがあります。
「おはよう」のたった一言が、画面の向こうに届いた
SNSを始めたばかりの私は、何を書けばいいのかもわからず、ただ「おはようございます」とだけ投稿してみました。たった一言。だけど、それが私にとっては大きな一歩でした。
「いい朝ですね」「今日も一日、元気にいきましょう」
そんな風に、見ず知らずの人たちが返してくれた言葉を見て、胸が熱くなりました。自分の言葉が“誰かに届いた”ことに驚き、そして心がじんわり温かくなったのです。
何気ないやり取りが、心を動かす
続けて「今朝は少し寒いですね」と投稿したら、「こちらも冷え込んできました」「そろそろコタツ出そうかな」など、またたくさんのコメントが届きました。特別な話題でも、深い話でもありません。でも、誰かが反応してくれる。それだけで、自分が“ここにいていい”と感じられました。
夫婦の会話がなくなって久しかった私は、忘れかけていた「人と気持ちをやりとりする温かさ」を、SNSの中で再び思い出したのです。
「ありがとう」を言える場所があることの安心感
ある日、「コメントありがとう」と返したら、「こちらこそ、うれしかったです」と言ってくれた方がいました。文字だけのやり取りなのに、こんなにも心が通うとは思っていませんでした。
家の中ではもう長い間聞けなかった「ありがとう」という言葉。それをSNSで交わせたことに、涙が出そうになったのを覚えています。
恋愛じゃなくてもいい。“自分を見てくれる人”の存在
「夫婦関係がうまくいかないのなら、新しい恋をすればいい」
そんなふうに言う人もいます。でも、実際には――恋愛がしたいわけじゃない。ただ、誰かに“自分”を見てほしかったのです。
会話のない毎日は、「透明人間」になったようだった
家の中では夫婦の会話もなく、触れ合いもない。何かを話しかけても、返事があるとは限らない。「おはよう」と言っても無言。「行ってきます」と言ってもテレビの音が返ってくるだけ。
気づけば、誰かと“ちゃんと目を合わせて話した”記憶がないまま、何ヶ月も過ぎていました。
そんな中で始めたSNS。最初は戸惑いながらも、「今日こんなことがあった」と投稿をしてみたら、誰かがリアクションをくれました。
「いいね」一つ、短いコメント一つ。それが、想像以上に嬉しかったのです。
恋愛じゃなくても、人とつながるだけで心があたたかくなる
SNSで出会ったのは、恋愛を求めている人ばかりではありませんでした。むしろ多くの人が「誰かとちょっと話したい」「共感してほしい」と思っているように見えました。
「うちも似たような感じです」
「わかります、その気持ち」
そんなひと言が、まるで肩に手を置いてくれたような安心感をくれました。
そのとき、私は“孤独”から少しだけ解放された気がしたのです。
自分の存在を肯定してくれる誰かがいるだけで、前を向ける
SNSには、毎日同じ時間に「おはよう」と声をかけてくれる人がいます。
たまに「元気ですか?」と聞いてくれる人もいます。
会ったことがなくても、顔を知らなくても、そこに**“私を気にかけてくれる人”がいる**という事実が、これほどまでに支えになるとは思いませんでした。
恋愛じゃなくてもいい。恋人でなくてもいい。
ただ、「あなたの言葉を見ているよ」「あなたの日常を感じているよ」と言ってくれる誰かがいる――それだけで、私はまた一日を頑張ろうと思えるようになりました。
セックスレスに悩んだ私が“会話の場”をすすめたい理由
セックスレスに悩んでいた日々、私はずっと「触れ合いがないこと」が苦しかったのだと思っていました。けれど今振り返ると、本当に欲しかったのは――“心のつながり”だったのだと気づきました。
「話すこと」が減ったとき、関係は静かに崩れていった
最初は小さなすれ違いでした。
「おつかれさま」「ありがとう」「今日どうだった?」
そんな日常の言葉が、少しずつ減っていきました。
触れ合いがなくなり、会話もなくなると、心の距離は想像以上に早く広がるものです。
そして気づけば、隣にいるのに何も話せない。そんな関係になっていました。
でも、SNSで「誰かと会話をする」ようになってから気づいたのです。
言葉を交わせる相手がいることが、どれほど人を救うかを。
セックスレスの悩みを話せなくても、“他愛ない話”が心をほぐしてくれた
SNSで出会った人たちは、セックスレスの悩みを相談したわけでもないし、深刻な話をしたわけでもありません。
それでも、「夕飯は何にしました?」「寒くなってきましたね」――そんなやり取りが、いつの間にか心をほどいてくれました。
誰かと話すことで、自分の気持ちに気づけたり、感情を言葉にできるようになったりしました。
恋愛ではなくても、人とつながることは、こんなにも癒されるのだと知ったのです。
“会話できる場所”があれば、人は変われる
あのとき私がSNSを始めていなければ、今も「誰にも話せない寂しさ」を抱えたままだったかもしれません。
会話の場を持つことで、自分を取り戻せたのだと思います。
だからこそ、今、同じように夫婦関係やセックスレスに悩んでいる方に伝えたいのです。
すぐに夫婦の問題が解決しなくてもいい。
でも、「誰かと話せる場所」があるだけで、心の重さは確実に変わっていくと。
あなたの言葉を聞いてくれる誰かは、きっといます。
SNSでも、チャットでも、掲示板でも――
まずは一言、「こんばんは」から始めてみませんか?