パートナーと話せなくなった私に必要だったのは、“会話相手”だった

体験談・コラム

パートナーと話せなくなった私に必要だったのは、“会話相手”だった

  1. 「夫婦なのに、会話がない」ことがつらかった
    1. 「ただ一緒にいるだけ」の時間が増えていった
    2. 話そうとしても、うまく言葉が出てこない
    3. どこかで「もう話すことなんてない」と思っていた
  2. 話したいのは「気持ちのこと」だった
    1. 愚痴でも相談でもなく、“ただ誰かと話したかった”
    2. マッチングアプリは違う気がして踏み出せなかった
    3. 「恋愛じゃない会話の場」があると知ってホッとした
  3. SNSで出会ったのは、話を聞いてくれる“誰か”だった
    1. 最初の投稿は「今日は気分が沈んでいます」だった
    2. 返ってきたのは、やさしい一言だった
    3. 会話があるだけで、気持ちが整う日々が始まった
  4. 【図解】パートナーと会話がなくなった人が感じたこと・SNSで変わったこと
    1. 図1:夫婦関係で会話が減った理由TOP5
    2. 図2:会話がなくなって感じた孤独感・変化
    3. 図3:「会話だけのSNS」の特徴まとめ
  5. 会話の“相手”は、パートナーでなくてもよかった
    1. 話したい気持ちは誰にでもある
    2. 「夫婦で話せない」がすべてじゃない
    3. 自分の気持ちを聞いてくれる“誰か”の存在
  6. SNSだからこそ作れた「気を遣わない関係」
    1. 共感じゃなくても、「聞いてくれる」だけでいい
    2. リアルな関係より、ちょうどいい距離感
    3. 話せる場所があると、家での心持ちも変わる
  7. まとめ|「会話がない」ことに悩んだあなたへ
    1. “パートナーだけ”に期待しなくていい
    2. 誰かに話すことで、自分の気持ちに気づける
    3. まずは「声をかけてみる」一歩をSNSで

「夫婦なのに、会話がない」ことがつらかった

今回お話を伺ったのは、60代の長谷川さん(仮名)。東京都在住で、夫と二人暮らし。子どもたちはすでに独立し、現在は定年後の生活を夫婦で過ごしています。そんな長谷川さんが語ってくれたのは、「夫婦関係における“会話の欠如”が、思った以上につらかった」というリアルな心の声でした。


「ただ一緒にいるだけ」の時間が増えていった

「昔はもっと、夫といろんなことを話していたと思うんです。でも、子どもが大きくなって家を出て、仕事もひと段落してからは……なんとなく、話すことがなくなってきてしまって。」

長谷川さんは、朝食をとっても、昼間同じ部屋にいても、夜ごはんを食べても──夫婦の間に交わされるのは、最低限のやりとりだけになっていったといいます。

「夫婦って、長く一緒にいれば話さなくてもわかる、なんて言いますけど。私は逆に、“わかってほしいけど、何も言えない”というもどかしさが積もっていった感じです。」


話そうとしても、うまく言葉が出てこない

「『今日はどうだった?』って聞こうとしても、なんか急によそよそしくなっちゃって…。話すことが“特別”になってしまっていたんです。」

日常の会話がなくなると、いざ話そうとしたときに「どう言えばいいかわからない」と戸惑う気持ちが強くなります。長谷川さんも、沈黙の空気が当たり前になるにつれて、自分の感情を口にすること自体が難しくなっていったそうです。

「夫も無口なタイプだから、お互いに“無言”を選んでしまってた。でもそれが、一番苦しかったんです。」


どこかで「もう話すことなんてない」と思っていた

「これが年を重ねるってことなのかな……って、あきらめてました。話す努力をしなくなったら、ますます何も起きないんですよね。」

誰かと同じ屋根の下にいながら、「孤独」を感じること。それは、実際にひとりでいるよりも、ずっと心に響く寂しさだったと長谷川さんは言います。

「夫に不満があるわけでも、喧嘩したわけでもないのに。ただ静かな日々が続いていて、“誰かと話したい”って気持ちだけが、自分の中に残っていたんです。」


話したいのは「気持ちのこと」だった

会話のない日々に、心が少しずつ疲れていったという長谷川さん。そんな中でふと感じたのは、「誰かに話を聞いてほしい」「自分の気持ちを外に出してみたい」という、静かだけれど切実な思いだったそうです。


愚痴でも相談でもなく、“ただ誰かと話したかった”

「別に何か大きな悩みがあったわけでもないんです。ただ、『今日はちょっと寒いね』とか、『テレビでこんなの見たよ』とか、そういう“どうでもいいこと”を誰かと共有したかったんです。」

“特別な話題”じゃなくても、日常の中のちょっとした気持ちを、誰かに聞いてもらえるだけで救われる──長谷川さんは、そう実感したといいます。

「若い頃なら、友達と電話で話したり、職場で同僚としゃべったりっていう場があった。でも、今はそれが自然となくなっていって……。」


マッチングアプリは違う気がして踏み出せなかった

「誰かと話したいなと思って検索すると、すぐ“マッチングアプリ”って出てくるじゃないですか。でも、そこに行くのはちょっと違う気がして……。」

「出会い」や「恋愛」が前提のように感じられるマッチングアプリに、気後れしてしまったという長谷川さん。
話したいのは「恋愛相手」ではなく、「誰かと気軽に言葉を交わせる人」。でも、それができる場所が見つからず、孤独感が続いていたそうです。

「私は別に恋愛したいわけじゃない。ただ、人と関わって、ちょっと心が動く時間がほしかっただけなんです。」


「恋愛じゃない会話の場」があると知ってホッとした

「そんなとき、“恋愛じゃなくても会話ができるSNS”があるって知って。正直、すごくホッとしました。」

中高年向けに設計されたSNSには、恋愛を前提としない、緩やかな会話ができる場もあります。長谷川さんは、そういった場所で少しずつ「ことば」を交わせるようになったと言います。

「最初は誰かの投稿を見て共感したり、ちょっとしたコメントをつけるだけ。でも、それだけでも“人と関われた”って感じがして、嬉しかったですね。」

「誰かとちゃんとつながっていたい──そんな気持ちが、少しずつ戻ってきました。」


SNSで出会ったのは、話を聞いてくれる“誰か”だった

自分の気持ちを「誰かに聞いてほしい」と思いながらも、現実には話し相手がいなかった長谷川さん。そんな日々の中で、彼女が試してみたのが、“顔を出さなくても会話ができるSNS”でした。


最初の投稿は「今日は気分が沈んでいます」だった

「使い方もよくわからないまま、初めての投稿をしてみたんです。『今日はなんだか気分が沈んでいます』って。それだけ。」

投稿をしたものの、誰かが見てくれるかどうかも分からず、少し不安な気持ちで待っていたという長谷川さん。
「誰も反応してくれなかったらどうしよう」と思いながらスマホを閉じたその夜、彼女に届いたのは、まさに“思いがけないやさしさ”でした。


返ってきたのは、やさしい一言だった

「しばらくして通知が来て、開いたら『そういう日もありますよ。無理しないでくださいね』って書かれていて……。涙が出そうになりました。」

誰かに共感してもらえるだけで、心の奥で固まっていた感情がすっとほどけたような気がしたそうです。

「家では誰にも言えなかったのに、こんなに見知らぬ人からの言葉が響くなんて、自分でも驚きました。」

やさしい返信があったからこそ、「また書いてみようかな」「少しずつ話してみようかな」という気持ちが湧いてきたといいます。


会話があるだけで、気持ちが整う日々が始まった

「誰かに言葉を返してもらえるって、こんなに心が整うんだって思いました。話す内容は他愛ないことばかり。でも、それがすごく大事だったんです。」

SNS上での会話は、日常のちょっとした出来事、天気、テレビ番組の感想など。「見せるための言葉」ではなく、「感じたことをそのまま言える」安心感があったと語ります。

「直接会わなくても、言葉を通じて“誰かといる”感覚がある。それが今の私にはちょうどよかった。」

「ただの投稿でも、それに誰かが“答えてくれる”だけで、『私ひとりじゃない』って思えるようになったんです。」

長谷川さんにとって、SNSは“誰かとつながっている実感”を持てる新しい場所となり、少しずつ心の中に“温度”が戻ってきた──そんな感覚を抱かせてくれるものとなったようです。


【図解】パートナーと会話がなくなった人が感じたこと・SNSで変わったこと

パートナーと過ごす時間が長くなるほど、逆に「会話が減った」と感じる人は少なくありません。今回は中高年層を対象としたアンケート調査をもとに、夫婦間の会話が減った理由と、SNSで気持ちに変化が生まれた背景を視覚的に整理しました。


図1:夫婦関係で会話が減った理由TOP5

以下は、60代男女を対象にしたアンケートで「パートナーとの会話が減った理由」を尋ねた結果です。

理由割合(%)
一緒にいる時間が増えて話題がなくなった64.3%
お互いの考えを話す習慣がなくなった59.0%
伝えても通じないと感じて諦めた55.7%
会話がケンカにつながりそうで避けてしまう51.2%
気持ちよりも生活の用件ばかりになった47.5%

解説:
「一緒にいるからこそ、話すことがなくなる」という矛盾のような声が最多となりました。また、すれ違いや諦めといった“感情の断絶”が背後にあることも見えてきます。


図2:会話がなくなって感じた孤独感・変化

次に、会話の有無が日常や気持ちにどんな影響を及ぼしているかを比較したグラフです。

感じたこと会話がないときSNSで会話後
自分だけが孤独に感じた71.6%23.4%
気持ちが伝わらないと感じた68.0%25.1%
無力感・無関心になっていた52.4%20.7%
ふとした投稿で救われたことがある60.8%
話すだけで気持ちが整った65.2%

解説:
会話のない日常では、強い孤独感や感情の閉塞が起きやすい一方、SNSで「気軽に話せる関係」ができると、気持ちの安定や再び誰かを信じるきっかけにもなっていることがわかります。


図3:「会話だけのSNS」の特徴まとめ

「マッチングアプリ」と「会話型SNS(恋愛目的ではない)」を比較し、どんな点に安心感があるのかをまとめました。

比較項目マッチングアプリ会話型SNS
前提の目的恋愛・交際会話・つながり
相手との関係性プロフィール重視やりとり重視
写真の必要性必須が多い任意が多い
年齢層若年層中心中高年も多い
実際に会う必要多い会わなくてOK
投稿・チャット機能最低限気軽にできる投稿あり
安心感不安を感じる声も気持ちが楽との声多数

解説:
恋愛を前提にしないSNSでは、評価や外見に縛られず、日々のことばを自然にやり取りできる点が安心材料になっているようです。投稿やコメント中心の交流は、相手に“見られる”ではなく“寄り添ってもらう”関係を築きやすくします。


会話の“相手”は、パートナーでなくてもよかった

長谷川さんの話から見えてきたのは、「話したい」という気持ちそのものは、夫婦の問題とは別に、もっと根源的な“人とのつながり”への欲求だったということです。相手が夫でなければいけないという思い込みを外したとき、気持ちはふっと軽くなっていったといいます。

話したい気持ちは誰にでもある

「寂しいと感じるのは甘えだと思っていました」と語っていた長谷川さんですが、誰かと会話を交わすことで「自分の存在がちゃんとここにある」と感じられるようになったそうです。
日々の些細な出来事や感じたことを、ただ「うんうん」と聞いてくれる相手がいる。それだけで気持ちが整理されたり、明日が少しだけ前向きに思えたりする──。その感覚は、実は多くの人が抱いているものです。

「夫婦で話せない」がすべてじゃない

夫婦間で会話がなくなったとき、多くの人は「このままでいいのか」「これって終わりのサイン?」と自問します。ですが、必ずしも“夫婦間の会話”がすべてではありません。

長谷川さんも、「夫とはどうしても話せないけれど、他の人となら普通に話せる」という経験を通して、「私は“話せない人”ではなかった」と気づけたと言います。それはまさに、“会話の詰まり”をほどく第一歩になりました。

自分の気持ちを聞いてくれる“誰か”の存在

SNSでつながった人たちは、名前も顔も知らない相手だったかもしれません。それでも、「今日は疲れた」とつぶやけば「お疲れさま」「わかるよ」と返してくれる。“共感”や“承認”のような言葉を求めていたわけではないけれど、心のどこかで「ちゃんと聞いてくれる誰か」がいることが、安心につながっていたのです。

自分の気持ちを丁寧にすくってくれる人が、パートナー以外にもいていい。むしろ、そうした存在と出会えることが、“夫婦で話せない苦しさ”を抱える人たちにとって、気持ちを回復させる重要な鍵なのかもしれません。


SNSだからこそ作れた「気を遣わない関係」

長谷川さんがSNSで見つけた“安心できるつながり”は、リアルな人間関係とは少し違うものでした。
名前も知らない、顔も知らない。でも、話したいときに話せて、返事がなくても傷つかない。
その“ちょうどいい関係性”が、逆に心の負担を軽くしてくれたのです。

共感じゃなくても、「聞いてくれる」だけでいい

「共感してもらいたい」と思っていたわけではない。
「わかるよ」と言ってもらえたら嬉しいけれど、それがなくてもいい──。
ただ、自分の言葉をちゃんと“誰かが受け取ってくれている”と感じられるだけで、気持ちが落ち着く。そんな体験を、長谷川さんはSNSで初めてしたといいます。

SNS上のやりとりは、気持ちを言葉にする練習にもなります。
「うまく伝えられない気持ち」を文字にするだけでも、自分で自分を理解する手がかりになる。
そして、その言葉に「そっか」「大変だったね」と一言返ってくるだけで、孤独感はずいぶん薄れていきます。

リアルな関係より、ちょうどいい距離感

リアルな人間関係では、「相手にどう思われるか」「ちゃんと返さなきゃ」と気を遣ってしまうもの。
それが煩わしくて、つい心を閉ざしてしまうこともあります。

でも、SNSでは“返事がなくても当たり前”という空気がある。
気が向いたときに投稿し、読みたいときに読む──そんなゆるやかな関係が、長谷川さんにとってはとても心地よかったそうです。

「相手に気を遣わなくていい」のではなく、「自分が無理しなくていい」ことが大事だった。
そんな距離感を保てるのが、SNSならではの安心感なのかもしれません。

話せる場所があると、家での心持ちも変わる

不思議なことに、SNSで誰かと話せるようになると、家での過ごし方も変わってきた──と長谷川さんは話します。
「夫と話さなくてもいい」と割り切れたことで、心の中に少し余白ができたのです。

それまでは、黙っている夫を見ては「なぜ話してくれないのか」と責める気持ちがわいてきていました。
でも、自分にとっての“会話の場”が他にあると、夫への期待も少しずつ手放せるようになっていったといいます。

話せる場所がある。聞いてくれる誰かがいる。
その安心感が、他の人間関係に対しても、柔らかなまなざしを向けさせてくれる。
SNSは、ただ“話すだけの場”ではなく、“自分の心を整える場”としての役割も果たしているのかもしれません。


まとめ|「会話がない」ことに悩んだあなたへ

「夫婦なのに話さないなんておかしい」「もっと分かり合いたいのに伝わらない」──
そんな気持ちを抱えながらも、どうにもできずに日々が過ぎていく。
今回紹介した長谷川さんのように、「誰かと話したい」気持ちを抱えている方は少なくありません。

でも、もしかしたらその“会話”は、パートナーとの間だけに求めるものではないのかもしれません。

“パートナーだけ”に期待しなくていい

夫婦であれば、なんでも話せる関係であるべき。
そう思っているからこそ、話せなくなったときに深く悩んでしまう。
けれど、それは必ずしも「関係の終わり」ではありません。

年齢や人生経験を重ねる中で、夫婦の会話が変化するのは自然なこと。
それなのに、「どうして話してくれないの?」「自分が悪いの?」と責めてしまうと、お互いの気持ちはますます遠くなってしまいます。

大切なのは、「話したい」という気持ちを、無理にひとりの相手に背負わせないこと。
夫婦関係に会話が少なくても、あなたの“話す気持ち”が失われたわけではありません。

誰かに話すことで、自分の気持ちに気づける

人に話すことで初めて「自分がどう感じていたのか」に気づけることもあります。
話しながら、「ああ、自分は本当はこんなことで寂しかったんだな」と見えてくる。
それは、決して“相手に解決してもらうこと”が目的ではなく、“自分を整える時間”でもあるのです。

SNSという場所では、特別な話題や気の利いた言葉はいりません。
「今日は疲れたな」「気分が晴れないな」──そんな一言でも、誰かが耳を傾けてくれる。
その安心感が、自分自身への信頼にもつながっていきます。

まずは「声をかけてみる」一歩をSNSで

「誰かに話しかけてみる」ことは、思っている以上に勇気のいる行動かもしれません。
でも、SNSの中には“話しかけやすい空気”が流れている場所もたくさんあります。
年齢や境遇が近い人が集まるコミュニティや、匿名で気軽に投稿できる場を活用すれば、不安はぐっと軽くなります。

最初は見るだけでも大丈夫。
自分のペースで、「少し話してみようかな」と思ったときに、ほんのひと言を投稿してみてください。
それが、あなたにとっての“会話の始まり”になるかもしれません。

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